ハムストリングのストレッチ

 

Racewalk Like A Champion より抜粋

 

(ハムストリングのストレッチはウォーキング・競歩をするときにとても大切です。からだが硬い人でもこまめにやっていれば少しづつやわらかくなります。筋肉は骨ではないので、ていねいにやれば必ず伸びていきます。)

 

モデル紹介

 

 ジャック・スターは競歩選手のお手本となる人だが、本人に言わせると地球上でもっともからだが硬い人だそうだ。ではなぜストレッチの実例にこの人を選んだのかというと、答えはカンタンだ。彼のやり方が正しいのだ。彼ができるのなら、あなただってできる。ジャックと同じかそれ以上にストレッチできるかどうかは個人の特性で決まる。いずれにせよ、ジャックがするようにあなたもやるべきだ。二例で彼はタオルを使った方法を実演している。タオルを使うことで無理しない方法を選んでいる。このように工夫すればだれでも正しいポジションでやれるのだ。ときには壁や柵を使えば、からだの硬い人でも正しいストレッチができる。

 

 

 

一般的なストレッチ

 

重要性:高 強度:低

 

 座位で、片足を前に置く。片足を曲げて、膝は外側、足裏が伸ばした足に向き合うように置く。背中をまっすぐにして、股関節から曲げて、指先が爪先に近づくようにする。爪先に届くのが理想だが、無理をしたりはずみをつけるのは禁物。快適にできる範囲で行うこと。下図で、ジャックはあと数センチで指先が爪先に届きそうだ。75歳にしてはなかなかだ。

 

 別のやり方としては、ガードレールや柵の傍らに立ち、まっすぐに伸ばした足をその上に乗せる。雨で外が濡れていたり、レース中だったり、座るだけの時間が取れない場合に良い方法である。どちらも役に立つ方法である。

 

 

 

お気楽ストレッチ

 

重要度:中 強度:低

 

 ハムがとても硬かったり、腰に問題を抱えている人はこの方法が良い。仰向けに寝そべり、伸ばさない側の足を地面に置く。伸ばす側をできるだけ膝をまっすぐにしたまま上に持ち上げる。柔らかくなるほどに脚がからだに近づいていく。脚が地面に垂直位になると理想的。彼と同様それは無理かもしれないが、それでもいいのだ。自分なりのストレッチをすることがだいじ。

 

 

 

爪先タッチ

 

重要度:高 強度:低

 

 体操の時に爪先に向かって指さきを伸ばしていくように言われたことがあるはずだ。考え方はあってるが、このやり方だと腰を痛めかねない。代わりに次のやり方でいこう。まっすぐ立つ替わりに壁におしりをもたれかからせ、両足を肩幅ぐらいに広げておく。

 

 この格好から股関節を曲げて、爪先に向かって指を伸ばそう。ひざが曲がらないように意識しよう。足元が壁からやや離れたほうが腰に負担がかからず、神経痛になりにくい。

 

 

 

爪先タッチ改良型

 

重要度:中 強度:中

 

 基本的に同じストレッチだが、この方法では壁を使わない。使いたくても壁がないことは珍しくない。

 

 腰への負担を減らすにはおしりがからだの後方に来ることが重要なので、脚を交差させてバランスをとってストレッチをする。注意点は一般的なストレッチと同じである。

 

 

 

ひざうらストレッチ

 

重要度:高 強度:中

 

 下肢のどこかに、いつのまにか原因のはっきりしない痛みがでることがある。競歩ではひざうらに痛みが出て、痛みが強くなるまで気がつかないことがめずらしくない。これを避けるために、練習後にしっかりしたストレッチをしておこう。

 

 

  座位で片脚をまっすぐ前に伸ばしておく。反対側の脚は曲げて三角形の二辺になるように地面に置く。ひざをピンと伸ばすことを意識しながら股関節を曲げて爪先に向かって指を伸ばす。からだが柔らかければ爪先を左図のようにつかむ。からだが硬いときは、ジャックがやっているようにタオルを使ってしっかりひざうらを伸ばしてみよう。

 

 

ヨガ式ストレッチ

 

重要度:中 強度:低

 

 このやり方では楽すぎなのでしなくてもいいと思えるかもしれないが、とても効果的で、くび、腰からハムストリングまでじっくりと伸ばすことができる。

 

 爪先タッチ・ストレッチと同じポジションから始め(1)、からだを徐々に壁から離していき、腕がからだから自然に離れて床に近づいていくようにする(2-6)。可能なら指を床につける。全体で20-30秒かける。最後のところで10-20秒その位置を保つ。ゆっくりと元に戻るときに背骨の一つひとつが順番に動いていくのを意識しよう。