ブーマーウォーク 2.

なぜ競歩なのか?

 

  わたしや数千人に上る選手にとって競歩がかけがえのない体験であるのと同じく、みなさんたち数千万のベビーブーマー世代にも競歩はすばらしい助けになる。カロリーを燃やしいい心血管運動になるのに、ランニング・ジョギングのような関節への負担はない。競技としても地域から全国レベルまでがそろっている。 

 

本格的な有酸素運動

 

 競歩は公園の散歩ではない。かなりきつい。だから理想的な有酸素運動なのだ。わたしの場合、心拍数は120から150まで上る。1500メートル競歩ではほぼ9分間にわたり心拍数160がつづく。5キロでは心拍数155で30分以上、10キロは心拍数145が1時間を超える。というようにかなりきつい運動なので、あらかじめ医師に相談してから運動を始めて欲しい。

 

 本の中でいきなり他の本を推薦することが常識にかなうのか判然としないが、あえてここで言っておきたい本がある。あなたがベビーブーマーの一人で末長く健康な暮らしをしたいとのぞんでいるならば、ぜひ「年とともに若く」Younger Next Yearの一読をおすすめする。本の中で著者は老年期にも元気な暮らしをしたければ有酸素運動が鍵であることをさまざまな実例をまじえて述べている。あなたをやる気にさせるなにかが必要としたら、まさにこの本がそれである。

 

 この本の中で著者のクロウリーとロッジは最大心拍数の65%となる運動を週6日45分ずつ行うことを提唱している。うち二日は強めのウエイトトレーニングに切り替えても良い。おそらくみなさんは広く認められたウエイトトレーニングの効果である筋力増強・骨密度の増加・協調運動やバランス機能の改善をご存知のことと思う。ロッジ博士はウエイトトレーニングによる神経ネットワーク強化について研究を行い、こう結論した。「有酸素運動は命を救い、筋力強化運動は生きる価値を高める。」

 

 著書で述べられた方法はそれなりにきついので、始めるにあたっては医師への相談を行うべきだ。開始時の体力によって異なるものの、著者らが求めるレベルまで体を持っていくには時間が必要だろう。

 

 競歩は全身の筋肉のうち95%を使う一方、ランニングは70%しか使わないと言われている。正しい競歩のテクニックを実現するためには、腕・股関節・下肢・足をじゅうぶんに動かす必要がある。一度競歩を試してみれば、ランやジョグに比べ体の隅々までしっかりと動かさなければいけないことにすぐ気がつくはずだ。

 

 2008年アメリカ連邦厚生省で発表した身体活動ガイドラインの中で、競歩の有酸素運動効果に触れた一文がある。

 

 「成人では週に中強度の有酸素運動を2.5時間行うか、1時間15分の高強度の運動を行うことで実質的な健康改善効果がある。早歩き、水中エアロビクス、社交ダンス、庭仕事は典型的な中強度の運動であり、競歩、ジョギング、ランニング、スイミング、縄跳び、ハイキング、バックパッキングは高強度の運動である。」

 

 たぶん私自身が心臓病になりやすい家系に属しているため、競歩の有酸素運動効果を強調しすぎるのかもしれない。しかしみなさんも現代社会に暮らしている以上、有酸素の荷重運動で手足をしっかり動かす競歩のような運動が、ウェイトコントロール・糖尿病・骨密度・関節炎その他多くの疾患に与える好影響を無視することはできないはずだ。