ブーマーウォーク 12.

エピローグ

 

 見通せる限りの将来においてわたしは競歩を続けるつもりである。この夏は近隣の州のレースにいくつか参加した。ここで出会った一人が91歳のトム・ヤング氏だ。ヤング氏は隣人のまったく年を感じさせないジーン・ブルネンカントから誘いを受けて競歩を始めた。デモインで行われたある夏の蒸し暑いレースで、ヤングは1500メートルと5キロのレースを完歩した。91歳のような遠い将来のことはまったくわからないが、ヤング氏のような人がいる限り、わたしは希望を持ち続けるだろう。

 

 地元のランニングクラブが毎年400人の新人ランナーとウォーカーのトレーニングをしてテンケー(10K)レースに備えている。去年はうち20人に競歩の指導をした。20代中ごろから70代前半の人たちで、その中のひとりが3回目の練習時にカンをつかんだ。2年半の経験を積んでいるわたしよりいいフォームで歩けるようになったのだ。他の人の進歩はもっとゆっくりだが、みんなだんだんうまくなった。

 

 地元のランニングクラブ内でも競歩の練習ができるようになって、経験者が新人を指導するシステムができ、どんどんと競歩選手が育っていく環境があったらいいなと思っている。そうなれば、わたしは町でただ一人の競歩選手ではなくなるのだ。

 

 読んでいるあなたもこれからの将来ずっと競歩を楽しむようになってほしいと願っている。からだにいい。すばらしい有酸素運動だ。ローインパクトな運動である。ひとりでも、みんなでもできる。ちょっとの努力と幸運があれば 90代になってもできる。

 

 何万人ものベビーブーマーに、このスポーツに参加してほしい。参加者数がうなぎのぼりになれば、メーカーも腰を上げて競歩用シューズを量産するようになるだろう。

 

 たくさんの人が競歩を始めるきっかけにこの本がなったとしたら、わたしは満足だ。おもしろくて健康的でいくつになってもできるスポーツを、われわれの世代に満喫させたい。そうすれば健康保険の重荷もいくらか軽減され、社会保障の負担も軽くなるだろう。

 

 わたしの利益には反するが、たくさんの人たちが競技に参加することを願っている。多くの人がわたしよりずっと速くなるのはまちがいない。もしこの本を読んであなたがやる気になって、レースではあなたの後塵を拝すことになっても満足だ。そのときは敗者であることに誇りを持てるはずである。(終)