最良のストライド(11)

フォーム・キュー

 

 走っているときに、大事なポイントを即座に思い出させてくれるわかりやすいキュー(指示)があると便利だ。だが、あまりに細かい指示だととてもついていけないし、漠然としすぎる指示では役立たずになる。

 

 いろいろな選手やコーチたちに聞いた結果、これなら間違いない、絶対役にたつというキューを集めてみた。

 

1 ラン・トール(高く走れ)

 

 姿勢をかかとから頭のてっぺんまでまっすぐに保って走る。これができているなら、体がやや前に傾いているとしてもオーケーだ。

 

2 ひじを後ろに引く

 

 ひじを後ろに引くことを意識すれば、反射的に接地した足を後ろに引くことになり、からだを前に押し出す力を効かせられる。

 

3 やわらかく、静かに走る

 

 音をあまり立てないソフトな接地をすると、地面からの衝撃が少ないと同時に上下動の少ない効率的な足の運びを得ることができる。

 

4 腰に巻いたロープで引っ張られる

 

 この想像上のロープでからだが前に、上に引っ張られていると考えよう。だからからだが軽く、足は地面を軽く引っ掻くように走ることができる。

 

5 疲れてきたら短距離のスピードアップ

 

 一見すると無理難題のようだが、疲れてフォームが崩れてきたと感じたら、思い切って試してみよう。不思議としゃきっとして、フォームが改善するはずだ。

 

6 天にも届け!

 

 同じく疲れてきたら、両手を思いっきり上に伸ばしてみよう。気づかないうちに猫背気味になっていたからだが、もう一度しっかり伸びていくのを感じるだろう。

 

 この本を読み終えるに当たって「高く、軽く走る」実例を見てみましょう。

 

 まずティルネシュ・ディババ選手のビデオです。

 

 つぎはガレン・ラップ選手です。

 

 そして日本の大迫傑選手(黒いユニフォーム)です。

 ここに書いてあることを全部まじめにやっても、私たち全員がこういった一流選手のように走れるわけではありません。でも楽しく、無理せず、故障知らずで末長くランニングを楽しみたいと考えているランナーにとって、この本は貴重な情報源になると思います。

 

 さあ、それではみなさん、外に出て走り出しましょう‼︎ (完)

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