多彩なるボディワークの世界(5)ピラティス

指導中の写真

 

ピラティス

 

 スポーツクラブなどで行われ、おしゃれなイメージのあるピラティス。ところがヨーゼフ・ピラティスは第1次世界大戦後のドイツ陸軍で体育教練をしていた人です。世界恐慌のあおりを受けてアメリカに移住した後、独自のトレーニング法を進歩させました。

 

 ピラティスの特徴はひたすら体幹を鍛えることです。一つ一つの動作はゆったりとしたものですが、①息を止めず②連続的に③運動の正確性を意識して行うと、ちょっとするだけでも汗たらたらとなります。

 

 ピラティスの呼吸法で参考になるのはlateral breathです。腹筋をしっかりと使いながら運動を行うとき、腹壁を膨らませたりへこまして呼吸をすることはできません。しかし下部肋骨の外側方向への拡大運動はできるので、横隔膜のアンカーである第10-12肋骨の動きで呼吸が可能です。これがlateral breathです。

 

 ただ体幹を固めればいいのかは疑問ですが、現実には体幹(コア)がまったく効いていない(筋に力が入っていない)ため、スポーツはもとより日常動作にまで支障が出ている人が多いのです。転倒のしやすさにも関係があると思います。私は少しかじっただけですが、寝起きの際の腰痛がまったくなくなりました。単純な筋力の強化というよりも、動作コントロールの訓練になっているのでしょう。ピラティスさん自身も自分のメソッドを「コントローロジー」と呼んでいるくらいですから。

 

晩年のピラティス夫妻