多彩なるボディワークの世界(4)

 

トレーガー・ワーク

 

 トレーガ―・ワークはなかなかわかりにくいボディワークです。ミルトン・トレーガ―は、フロリダの砂浜でアクロバットをして喜ぶ健康美にあふれた少年でしたが、郵便配達夫やプロボクサーになった後、なんと中年になってからメキシコの医学部に入り、卒業後はハワイのホテルドクターとして働きました。

 

 破天荒な経歴、天性ともいえる楽天性が魅力的なトレーガ―は、ボディワークにおいても人柄がそのまま表れているみたいです。「楽に、楽に」「もっと自由に」がトレーガ―ワークの標語です。ダンシング・クラウド(踊る雲)がシンボルで、からだ中のよけいな力を抜き去って、おどるように、ときにはお猿さんのようにからだをゆすらします。相手のからだに触れ、完全に力が抜けるように動きを誘導します。たくさんの人が集まり、トレーガ―といっしょに腕を上げ足を動かして、なぞの盆踊りのような動きをします。当時はヒッピームーブメントのまっただなか、その影響もあったのでしょう。

 

 なんとなくたよりない感じだなーと思っていたのですが、人が長く生きていれば、気がつかないうちにいろいろなからだのくせ、心のくせがついてくるものです。一度それを取り払ってみるために、童心に帰ってシンプルな動きを繰り返す。これは、まったくつらくないけれど、ひとつの修行なのではと思います。

 

 日本には入ってきていないはず(後述、入ってきました)。ですが、誰もいない部屋でまねをしてみようかな。体面も何もかもなぐり捨て、ひたすらからだの自由を感じ取り、無意識にしみついた心の汚れを取り去ってしまう。伝記の中では手を触れることで父親の頑固な腰痛を治したり、小児まひの少年を歩けるようにするトレーガ―です。暖かく、誰にでも心を開くトレーガ―が触れることで、心からの安心が得られ、からだも良くなったのでしょうか。