ファンクショナル・トレーニング16

プライオメトリック・トレーニング

 単に筋力を強化するだけでは、真のパワー、パフォーマンスを促進することはできない。そこでメディシンボールやプライオメトリクスの出番となるのだ。

 

メソッド1 軽めの物体(メディシンボール)を速いスピードで投げる

 

メソッド2 自重によるトレーニング

ジャンプトレーナー

 自重を使ってジャンプする。勾配を変えて負荷を調節できる。体重のある人に良い。

メソッド3 ケトルベル、重量挙げのバーなど重いものを速く動かす。

 

 ここではメソッド2に属するプライオメトリック・トレーニングを紹介していく。

 

プライオメトリクスの要領

 簡単にいえば、プライオメトリクスとはいかにジャンプし、着地するかの練習だ。設置する時間をできるだけ短くすることが大事である。いいかえればバネを作るのがエクササイズの骨子なのだ。

 

 ただし安全性のために、順を踏んで行うこと。厳密なスケジュールに従うのではなく、達成度に応じて進んでいく。

 

 用語

  • ジャンプ 両足で離地、両足で接地
  • ホップ 片足で離地、 同側で接地
  • バウンド 片足で離地、反対側で接地
  • スキップ 片足で離地、両足で接地

 我々のプログラムではジャンプの回数は最小限にして、強度を上げることで段階を踏んでいる。

 NSCAは週2回を推奨しているが、私は週4回を勧めている。

フェイズ1 安定した着地を学ぶ

 できれば着地用のクッションを使ってほしい。ケガの危険が減るからだ。腱のトレーニングと考えてもらうとわかりやすい。

ボックス・ジャンプ

無理して高いボックスにチャレンジしないこと。見た目のすごさで競う必要はない。

シングルレッグ・ボックスホップ

シングルレッグ・ラテラル・ボックスホップ

ラテラル・バウンドアンドスティック

高さと遠さを徐々に増やしていく。

フェイズ2 障壁を越える

 

経験則は、大きい選手ほど障壁は小さくすることだ。

 

前へ進む動きが入ることで加速力が生まれてくる。とくに遠心性収縮の要素が劇的に高まる。

ハードル・ジャンプアンドスティック

シングルレッグ・ハードル・ホップアンドスティック

シングルレッグ・ラテラル・ハードル・ホップアンドスティック

45度バウンドアンドスティック

フェイズ3 弾みをつける

 スティック(留まる)代わりに弾む(バウンス)要素を入れる。

 

 上記4つの運動をスティックの代わりにバウンスで行うが、連続ではなく小刻みに行う。

フェイズ4 瞬発的な動き

 これが真のプライオメトリクスと受け取られることが多い。

ハードルジャンプス

連続して両足ジャンプでハードルを越える。

シングルレッグ・ハードル・ホップス

同様に連続して行う。

ラテラル・ハードル・ホップス

同様に連続して行う

45度ラテラル・バウンド

斜めにジグザグ方向に弾んで進む。

パワースキップ

股関節を伸展して垂直方向に飛び上がりながらスキップを連続する。

注意点

 必ず段階を踏むことで、けがを防止する。

 

 メディシンボールと重量上げ(オリンピックスタイル)と組み合わせれば、まんべんなく上肢・体幹・下肢を鍛えられる。