ファンクショナルトレーニング17

オリンピック・リフティング

 オリンピック・リフティングはパワーとスピードを両立させるすばらしいトレーニングになりうるが、同時にきちんとしたテクニックを磨かないと故障の原因にもなる。

 だから選手・コーチがきちんと自信をもってトレーニングの実行・指導をできる自信がないときは、メディシンボール・ケトルベル・プライオメトリクスなどのトレーニングに替えたほうが安全だ。

効果

  • 運動の美しさ 全身のパワーを鍛えられると同時に、みごとなからだの動きはまさに美しいと言ってよい。
  • 遠心性収縮 動作の中に求心性だけでなく遠心性収縮の要素が多く含まれるのでけがの防止に有効である。
  • 楽しい みんながそうとは言わないが、アスリートはおしなべて楽しんでやっている。技術があればからだの小さな選手が大きな選手より重いウェイトを持ち上げられるので、身長差がパフォーマンスに影響を与えない(むしろ有利?)

基本

ハングポジション

床から持ち上げるのではなく、股関節からの前屈位でバーベルを支える。このほうが安全で、快適な基本トレーニングになる。

習得法

ステップ1 両手放しスクアット

まず肩でバーを支える練習をする。

ステップ2 クリーングリップ・スクアット

肘は膝の内側に、膝はつま先の外側に来る(右)。左のクロスオーバーグリップを使わないこと。

ステップ3 クリーンアンドスナッチ・スタートポジション

脚は肩幅に開き、軽くひざを曲げ、胸はバーより少し後ろに、手首を曲げ気味で、肘は外向きにする。

ステップ4 オーバーヘッドサポート・ポジション

両腕を伸ばし、頭上でバーを支える。手首はロックし、頭はバーよりやや前へ持ってくる。膝を少し曲げる。

ハングクリーンスナッチ・クローズグリップスナッチ

ステップ1 バーを上げ、下げるときは必ず背中は反り気味にしてする

ステップ2 ハンズフリースクアット、クリーングリップ・スクアットを行う

ステップ3 手首を曲げ、肘を伸ばし、背中を反らし、肩をバーより後ろへ持っていく

ステップ4 ひざを曲げる

ステップ5a 足を開き、ジャンプ、シュラッグ、スクアットでバーを肩に乗せる。手をゆるめ、肘を上げる。これがハングクリーンだ。

ステップ5b クローズグリップ・スナッチ

ステップ6 バーをもとにもどす

代替手段

片手ダンベル・スナッチ

ダンベルの重さはバーベルの半分とする。

 

ダンベルで天井をたたくイメージで行うとよい。

片足立ちクリーン&スナッチ

一見するとばかげて見えるが、腰や足のケガからの回復時に効果的だ。

ケトルベル・スウィング

 最近はやりの方法だが、注意点を上げておく。一つは手がつま先に届くくらいストレッチをしておくこと。二つ目はケトルベル・デッドリフトをあらかじめ練習しておくこと。

膝ではなく股関節で動くこと。背中は反らしておくこと。