私が入院したようなリハビリ病院では①患者本人がリハビリを一生懸命やれるように環境・設備を整えている②医師、看護師、理学・作業・言語の3療法士(PT/OT/ST)、ソーシャルワーカー、介護福祉士+サポートスタッフ(栄養士、施設メンテナンス、清掃スタッフなど)全員が、どうやったら患者さんが気持ちよく過ごせて、リハビリ(からだの回復)に専念できる環境を作るか考えているのが特徴でした。「病気ではなく病人、それも入院前までふつうの暮らしをしていた人たちに寄り添い、励まし、手助けする」ことが徹底されているのを入院中に実感しました。
それでも入院生活の肉体・精神的負担は大きかったです。とくにベッド上でじっとしている時間が長いこと(入院直後の時期)が影響しています。現在入院されている方・今後入院の可能性のある方向けに不動の影響(急に動かなくなるだけで調子をくずす)と対策を挙げていきます。今は元気という人もよろしければご参考にしてください。
1 関節が固くなる
動かさないだけで関節まわりの筋肉・じん帯の弾力が失われます。縮まったところは伸ばすと痛いので、じっとしているだけでも節々が痛くなってきます。
対策・・・かべやベッド・椅子を利用してストレッチを行う。狭いところでも工夫次第でいろいろなことができるのを実感しました。
2 姿勢が悪くなる
1と似ていますが、股関節・くびから背中まわりの筋肉が縮まってくると本人の意図に関わらず姿勢が崩れてきます。私も気をつけていましたが、肩こりや首の痛みが出てきたので対策を立てました。
対策・・・ストレッチ+テニスボールマッサージ(クリニックホームページに詳細)が有効です。入院した後、家族にテニスボール(靴下上の袋にテニスボールを入れたもの)を持ってきてもらい、ベッド上で使いやっと一息つけました。リハビリ病院では療法士さんと外の散歩に行けたので、これも助かりました。
3 内臓の働きが落ちる
内臓も体を動かすことで刺激を受けてちゃんと働くようにできています。とくに消化器は影響を受けやすいようです。便秘薬を飲む前にまず体を動かしましょう。
4 むくむ(皮ふ・皮下組織)
皮ふ・皮下組織も動かさないだけでむくみ、固くなります。下肢の静脈瘤や肝臓・心疾患・内服薬の影響でむくみが出やすい人は特に要注意。全身のリンパの流れを良くするためにできるだけからだを動かす機会を作ることです。病院の環境でも、いろいろな工夫をすればむくみの予防はできると思います。
5 あたまが煮詰まる
ぼける・元気がなくなるなど言葉を探しましたが『煮詰まる』がいちばんぴったりくる感覚でした。入院というだけで心配・不安は尽きません。お見舞いの人、(そんな必要はないのに)入院仲間や病院スタッフのちょっとした言動や表情を気にしてしまう、ゆったりと構えようと思ってもなかなかできない自分が情けなくなります。
解決策・・・からだを動かすこと。リハビリ病院だったからか、検査や治療のない時間帯はわりあい規則が緩く、ちょっとした時間に病院ロビー・病棟内の廊下・リハ室(空いている時間帯のみ)を歩いていても見とがめられませんでした。もちろん走り回ったり、キャッチボールしたりは✖ですが、からだを動かすとあたまの中身も動くことを実感しました。
6 知的活動
今の時代、パソコンやスマホを持ち込めばかなりのことができるはずです。デスクワークで過労気味の人は休んだほうがいいかもしれません。ご家族や信頼できる主治医のアドバイスに耳を傾けましょう。私の場合は脳梗塞後の刺激療法の一環としてパソコンを使えたことはむしろ役立った気がします。故障の中身と治療方針で変わるところです。
上図 テニスボールマッサージ道具・使いかたの1例(ホームページに細かく載せています)
※入院の理由・からだの状態によって以上のアドバイスがあてはまらない場合もあり、病院で一度確認してください
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