多彩なるボディワークの世界(2)

 

フェルデンクライス・メソッド

 

 モーシェ・フェルデンクライスは、物理学者でしたが、ヨーロッパで柔道を始めた草分けの一人でもありました。柔道で痛めたひざを治す方法を探るうちに編み出されたのがフェルデンクライス・メソッドです。からだの動きを細かく分析し、要素に分解し、分解した動作を繰り返し、動作をしているときの感覚を研ぎ澄ませます。

 

 たとえば、肩を動かすという動作は、肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節、頸椎・胸椎がかかわっています。肩甲上腕関節だけをとりあげても屈曲・伸展・外転・内転・内旋・外転の運動方向がありますが、それぞれの動きで使われる筋肉はちがいます。何気なく腕を前に伸ばすとき、からだが前屈する動作に伴って頸椎の伸展・側屈がおきることにほとんどの人は気づいていません。伸展・側屈によりC5/6で神経根障害がおきれば肩の痛みが出ることになります。

 

 フェルデンクライス・メソッドで運動の感覚が研ぎ澄まされると、痛みを伴う動作が実は肩ではなくくびにあることが理解できるはずです。スポーツをする場合、感覚がとぎすまされれば力みのない素早い動きができるし、疲れも少なくなります。音楽の微妙な表現を聞き分けたり、ワインのテイスティングをするのと同じように、ここでは固有位置覚のトレーニングをするのだと考えられます。非常におもしろい分野だと思いますが、時間をかけて学んでいく必要があるので、ちょっと敷居が高いのも事実です。いつかチャレンジしたいものです。

 

 ちなみに、フェルデンクライスさんはパリ柔道連盟(のちのフランス柔道連盟)初代会長です。オリンピックでも活躍目覚ましいフランス柔道界の基礎を作り上げた人物です。

 

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